3月のメッセージ

2011年3月6日

南房教会 牧師 原田 史郎

 「思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい。神が、あなたがたのことを心にかけていてくださるからです。」

(Ⅰペテロの手紙5章7節)

 

 3月に入りますと三寒四温も最後の段階なります。春一番を境に、雪の降るような寒気が北から突然やってきて驚かされますが、それが去れば、南の暖かい風が吹き込み、春らしい気温が続きます。房総では、ふきのとうの味噌あえや天ぷら、菜の花のお浸し等が食卓を賑わせ、千倉、白浜方面では、ストック、きんせんか、ポピー、デイジーその他、わたしの知らない色とりどりの花々が、花畑一面に咲き誇ります。また、庭には今まで姿の見えなかったセキレイの様な鳥や、まだ、鳴き声が様に成らない、幼い郭公(かっこう)の声まで聞こえてきます。

 このように春の訪れの3月は嬉しく、また、入園入学、新学期や新しい生活を始めるための準備のときでもあります。期待と希望が、若い人ほど大きいことだと思います。

 

 そのような春を迎えているのに、心の重い日々をすごしている若者も決して少なくありません。それは主に、二つの「活」のためで、「就活」と「婚活」と言われるものです。今春、高校や大学を卒業する人たちの就職の内定率が低い事は、知られています。それだけでなく、今、16~24歳の若年層と呼ばれる人たちだけに限った失業率は、なんと約10パーセントにまで悪化しているそうです。これから社会に船出して、新しい航路を開いていくべき若者の、10人に一人に仕事が無く、それ故に将来の展望を描けず、希望も持てない、という状況はまことに深刻な事態です。[なお、全体の完全失業率は5.1パーセント]

 

 もう一つの活は、将来の配偶者を探すために結婚相談所に行ったものの、うまくいかないで心の病になる人が増えているようです。最も、古今東西、昔から失恋は若者にとって心の深い痛手であり、命取りでもありました。古い話で恐縮ですが、わたしの親の世代(昭和の前期)に、藤村操とかいう青年(一高かどこかの学生)が失恋して、華厳の滝に飛び込み自殺をしたという話を、よく聞かされました。

 でもそれは、特殊な例外的なことであったが故に、人々の話題になったのですが、現代の婚活から来る心の病は、かなり多くの症例があり、深刻のようです。そういう患者を救おうと、東京には、「婚活疲労外来」を設けて治療にあたる診療所まで出来たと、新聞が報じていました。結婚を断られると、「全人格を否定されたように感じで、打ちのめされてしまうようだ。」と治療に当たった医師は言います。

 

就活は、能力の否定、婚活は人格の否定と、当事者には感じられるのです。これらの試練や困難には、カウセンリングや相談が有効だと、識者たちはアドバイスします。確かに現代の社会では、それは良いものの一つだと思いますが、聖書は、わたしたちの視点を変える、もっと高いレベルで、わたしたちの存在と生き方のすべてを包含した光を与えてくれます。

 

 それは、わたしたちをこの世に生まれさせ、生かし、成長させて下さったお方、神さまがおられると、聖書は告げるのです。神さまは、わたしたちの誰ひとりとして、生きる意味と目的を与えられないで、決してこの世へと生まれさせないお方です。換言すれば、わたしたちが、この世に生まれ、生きているという事実は、たとえ、今、あなたがうちのめされ、弱くとも、あるいは将来の希望が見えなくても、あなたには、あなたでなければ成しえない使命と目的がこの世界にある、ということなのです。

 

 このわたしを超えた神さまの心とご計画に、あなたの心の目を向けてみませんか。「思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい。神が、あなたがたのことを心にかけていてくださるからです。」と聖書は語ります。「神にお任せする」と言うことは、あなたのことを心にかけてくださる神さまに、あなたの重荷を委ねて、荷を軽くすることであります。そして、あなたの行く末を、神さまにのご計画に頼して、望みを失なわないと、言うことなのです。

主の平安が、あなたの上に豊かにありますように、祈ります。

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