4月のメッセージ

 

2012年4月8日

南房教会 原田史郎

 

「わたし自身は既に捕えたとは思っていません。なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに前進を向けつつ・・目標を目指してひたすら走ることです」

(フィリピ3章13~14節)

 4月になりますと、新入生や社会人一年生のフレッシュな姿が町に見受けられます。特に今年は、東日本大震災で被災して、親や兄弟を亡くし、一人残され若い人が、進学や入社するけなげな姿を報道で見ていると、胸に来るものがあります。

 先日も、宮城県石巻市の高台にある家族が眠る墓の前で、M君が大学進学の報告をした、という記事がありました。中学生のときに母を病気で亡くし、今度の震災で父を亡くし、兄は今もって行方不明です。震災直後は、布団の中で泣いていたそうですが、好きな化学を生かしたい、と仙台の大学の薬学部に推薦で入りました。将来は、薬剤師になるのが夢だそうです。「震災の悲しみを乗り越えることは容易ではない。それでも、M君のように、一人でも多くの震災遺児が、夢に向かって歩みを進めてもしいと思う。」と、記事は締めくくっていました。(4月6日付け毎日新聞)

 

 このM君のように夢を持つこと、目標をはっきりと定めることは、とても大切です。特に若い時に、夢や目標があるかないかでは、後に大きな差が生じます。夢があれば、その実現のために、希望と忍耐とをもって歩むことが出来るのです。苦しいことや、悔しいこともあるでしょう。人生は、自分の思う通りにいくものではありません。だからといって、そこで挫折して、投げ出してしまえば、何も得ることは出来ません。

 今、ロンドン五輪の代表選手選考会が、各種目で行われていますが、4日と5日に女子の競泳日本選手権がありました。100メートルで五輪の切符を手にいれたのは、8年ぶりの寺川綾選手でした。前回は、あと一歩というところで涙をのみ、4年間、この日のために練習を積んできたのでした。しかも参加したのは、アテネ五輪で8位で入賞した200メートルを捨て、100メートル一本でエントリーし、見事、自身の日本記録を塗り替えての入賞でした。

 200メートルのバタフライで五輪出場を決めたのは、星奈津美選手です。彼女は昨年の世界選手権でメダルに0秒01届かず3位を逸しましたが、今回は、世界選手権の優勝タイムをも上回っての快勝でした。

 

 使徒パウロは「わたし自身は既に捕えたとは思っていません。なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに前進を向けつつ・・目標を目指してひたすら走ることです」と言いました。彼の目標は、この世の流れによって、失ってしまうものではなく、神さまがキリストイエスによって、与えて下さる賞でした。この目標に目を向けられませんか。

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