9月のメッセージ

2012年9月2日

南房教会牧師 原田史郎

 

「こうして、見えない者は見えるようになり、見える者は見えないようになる」    

(ヨハネによる福音書9章39節)

 

 最近の科学や学問の進歩はすごいものがあり、一昔前では、考えることも出来なかったことが次々に実現しています。最近のトピックでいえば、遺伝子情報の解明を初め、iPS細胞の発見は、いずれ人間の臓器は、何十年後には再生可能になるだろうと、MITのロバート・ランガー教授は言いました。

 ハッブル宇宙望遠鏡や、火星に無事着地した探査機などから、鮮明な画像やデータを送ってくるのをテレビで多くの人たちが見たことでした。そのような中で、わたしが面白いと思ったのは、ピラミッドの中をレントゲンのように見ることが出来る、というニュースです。これは、宇宙から飛来してくる素粒子の性質を利用してピラミッドの内部を見るというものです。どうしてそのようなことが可能なのかといえば、宇宙線が大気と衝突すると「ミュー粒子」というものが発生し、この粒子は、岩でも石でも通り抜ける性質があります。そのとき、透過量の微妙な差を計測して、この数値をもとに立体画像化するのです。

 あの巨大なピラミッドをどのように造ったのか、というのは、今でもよく分かっていません。従来の仮説として、外側に大きな傾斜路をつくり、そこから石を積み上げていったという説が有力でした。しかし、それではピラミッドと同じ300万個の石が必要になります。そこで内側から、らせん状にトンネルをつくり、石を積み上げていったという内部トンネル説が出てきました。いずれにせよ、東大地震研究所の田中宏幸准教授たちが開発した「ミューオトモグラフィー」という立体画像が、この論争のどちらが正しいのかを明らかにしてくれるでしょう。 

人間は、ここまで見えないものを見えるようにしてきたのに、依然として見えないものが多くあります。何が正しかという真理の判断や識別。また隣人の思いや心も見えるようで見えません。親子でも夫婦でも、見えないときは見えないのです。それは、わたしたちが真理とされているものやお互いの心を見ることが出来なくなった根源に、神さまとわたしたち人間の関係が罪や不信仰によって断絶されたことがあるからなのです。主イエスは、ひとりの盲人が主のもとに来て「主よ、信じます」とひざまずいたとき、「こうして、見えない者は見えるようになり、見える者は見えないようになる」と言われました。

ピラミッドの内部を見るのは、興味深いことですが、それ以上に今、わたしたちは、これからのわたしたちの生きる道、将来の希望が見えるようになることが大切だと思います。神の言葉である聖書の中に、イエスキリストの中にその答えは隠されているのです。

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