10月のメッセージ

2012年10月7日

南房教会 原田 史郎

 

「わたしたちは神に造られたものであり、しかも、神が前もって準備してくださった善い

 業のために、キリスト・イエスにおいて造られたからです。」

(ヨハネによる福音書9章39節)

 最近の遺伝子解明の技術は驚くものがあります。つい先日の9月6日、人の設計図にあたる「ゲノム」(全遺伝子情報)の解明についての発見が英科学誌「ネイチャー」に発表されました。「ゲノム」というのは、わたしたちの細胞にある染色体をつくる細胞のことです。二重らせんのDNAが染色体(ひとでのようなエックスのかたちをしている)をつくり、それがわたしたちの細胞の中に、個人個人に違ったかたちであるのです。ゲノムそのものは、すでに解読出来ていますが、体をつくるたんぱく質の設計図にあたる遺伝子は、わずか2パーセントしか、その働きが分かっていませんでした。すなわち、今まで98パーセントの遺伝子は、なんの働きもしない無駄な、いってみれば無くても良いと思われていたのです。

ところが、03年に始まった国際共同チーム「エンコード」計画が、ゲノムの働きを詳細に調べた結果、なんと80.4パーセントのゲノムに、遺伝子の働きを調節する大切な役割があることが分かったのです。この無用と思われたゲノムが働かないと、人間の命は正常に働くことが出来ないで、そのために病気を発症することも分かりました。

 

世界で32の研究機関が参加して、解明したこの壮挙に、表題にあげた聖書の言葉を思い出しました。それは、どんな人にも、どんなものにも、神さまが造られたものには、無駄なもの余計なものは一つとしてない、ということです。どんな人にも、神さまのご計画があり、その人はその人でなければ出来ない働きや使命を託されているのです。

問題は、わたしたちがそのことに気付かないで、しかもときには、自からを、この世界で要らない無用なものと考えていることさえあることです。

 

聖書は、「わたしたちは神に造られたものであり、しかも、神が前もって準備してくださった善い業のために、キリスト・イエスにおいて造られたからです」と語ります。一人一人が、神さまによって、無くてはならないものとして造られ、神さまの栄光を表す器として、イエス・キリストの救いに選ばれ、招かれているのです。

神さまにとって、わたしたちはなくてはならない大切な作品です。なぜなら、神さまは、ご自身の善き業を、わたしたちを通して、実現なさることを決心されたからです。こんなわたしたちがと、思うかもしれません。然り、そうであることを神さまは充分ご存じの上で、キリストに在って選ばれたのです。ただ、そのことを受け入れるだけでよいのです。

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