1月のメッセージ

2013年1月5日

南房教会牧師 原田 史郎

 

「青春の日々にこそ、あなたの創造主を心にとめよ、苦しみの日々が来ないうちに、“年を重ねることに喜びはない”という年齢にならないうちに」

(コヘレトの言葉12章1節)

 

早いもので2013年になりました。この「早いもので」という言葉を付けたのは、年々、日が経つのが早く感じられ、ついこの前までは昨年の11月、12月の行事に追われていましたのに、気がつくとクリスマスはもう終わっていて、新年になっているということです。クリスマスカードの返信を書いている間に、もう年賀状の準備をしなければなりませんでした。そしてこのことは、どうもわたしだけのことではなく、毎日聞いているラジオのパーソナリティやゲストたちも口ぐちに言っていることでした。

「青年老い易く、学成り難し」という言葉がありますが、聖書にも時が経つことの早さと、それに対する警告を語っている言葉は多くあります。その代表的なものの一つが、旧約聖書「コヘレトの言葉」として語られているこの聖句です。「コヘレト」とは、「集会の中で語る者」という意味です。

「青春の日々にこそ、あなたの創造主を心にとめよ、苦しみの日々が来ないうちに、“年を重ねることに喜びはない”という年齢にならないうちに」

クリスマスはもう終わっていると書きましたが、実は教会の暦(こよみ)では、「クリスマス(キリストの降誕)」の期節は始まったばかりなのです。1月6日(日)は、「降誕節第1主日」という日曜日で、しかも「公現日」というキリストが洗礼をお受けになった記念日でもあります。「公現」というのは、公に表われた、ということで、キリストが神の国を広められるために

メシアとしてご自身を人々の前に現わされたのです。その最初の一歩が、ヨルダン川に行かれて、バプテスマのヨハネから洗礼をお受けになることでした。一年の出発にふさわしいですね。

世俗の(太陽暦)の暦に従って暮らしていますと、年末から新年はまことに忙しいことです。おまけに日本人は、クリスマスの日は、一日キリスト教徒になって讃美歌「きよしこのよる」を歌い、すぐに除夜の鐘で仏教徒の心地になり、明けて元旦になりますと神社に詣でて神道になります。考えてみればそれだけ心が清められる行事が続いて慶賀なことにも思えます。

これは日本人の多神教的なおおらかさでもあるのですが、結局あれもこれもという中で、何が本当にわたしたちの人生の軸足であるかが分からなくなってしまうのではないかと思います。

そういう中で「青春の日々にこそ、あなたの創造主を心にとめよ」というコヘレトの言葉は、あいまいなわたしたちに、直截的で大切なメッセージを語っています。「早いものでもう」という言葉が出ないうちに、神さまの方に心を向けて、しっかりとこの年を踏み出しましょう。

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