2月のメッセージ

 2013年2月3日

南房教会 原田 史郎

「わたしはあなたを選び、決して見捨てない。恐れることはない、わたしはあなたと共に居る神。たじろぐな、・・あなたを助け、わたしの救いの右の手であなたを支える」 (イザヤ書41章10節)

ここ数ヶ月、若い人たちに関係するニュースがいくつか報じられました。いじめの問題、教師による体罰、ついにはオリンピックの選手も含まれるという、女子柔道選手たち15人による、監督の暴力に対する訴えなどです。いずれも心痛むことですが、最近、少し変わった出来事があり、どう捉えたらよいのか考えさせられました。

それはAKB48のメンバーの一人が、ご法度の恋愛をしたということで、頭を丸刈りにして、涙をながしながら謝罪した動画です。わたしは、NHKの夜9時のニュースで見たのですが、元になったAKBのチャンネルに流されたこの映像は、世界中に配信され、外国でも物議をかもしているとのことでした。

このタレントは、誰かに強制されたのではなく、自分で頭を坊主にすると決めた、と言っています。大粒の涙を流しながら、罪を悔いている姿は、どこか少女の面影を残しているだけに、なんとも痛々しいものでした。

AKB48というグループは、今や若い人たちが熱狂する、当代一の人気チームです。そのトップを究めているメンバーから外されたくない、というのがこの3分49秒の訴えになったのでした。ファンがどう見るかで、賛否が定まるのかも知れませんが、翌日の新聞(朝日、2月2日朝刊)に掲載された広報コンサルタントのコメントに、クールな現代社会の冷徹な原理を知らされました。

コンサルタントは、①謝罪の気持ちが相手に伝わったか。②相手の信頼を得られる表現だったか、という二点を挙げます。そして、①は「事実認識、後悔、償い、ざんげの5項目のうち4項目を満たした」ということで80点。②についても「透明性、独自性といった五つのチェック項目をすべて満たした」と、高い評価を与えています。「やりすぎ、と言われるくらいに出来れば謝罪は成功なんです」。一般論と断りつつ、アイドルは商品で、「ブランドコントロールは何よりも重要です」とのこと。

ひとりの人間として考えれば、なんともやりきれない動画でしたが、この人がアイドルとしてブランドを志向している限り、これは演技とまでいわないとしても、見事に効果をあげたと、いえるでしょう。

わたしたちは、本来一人の人間として、その人自身の価値が神さまから与えられている者です。でもわたしたちは、それでは満足しないで、自分をブランド化し、自分の商品価値を高めるために必死に労苦します。そのブランドを保つために、一人の少女がブランドコントロールされている映像でした。

しかし、神さまは「わたしはあなたを選び、決して見捨てない。恐れることはない、わたしはあなたと共に居る神。たじろぐな、・・あなたを助け、わたしの救いの右の手であなたを支える」とイスラエルに語られました。神様は、罪に満ちた弱い土の器であるわたしたちを、そのままの人間として受け入れてくださり、イエス・キリストの血をもってわたしたちの罪を赦し、かけがいのない神さまの宝として引き上げくださいました。その神さまの愛と救いは、どんなときにも、わたしたちを離れることはないのです。

それは、イエス・キリストにより、ただ信仰によってだけ、わたしたちが神さまのブランドに選ばれたということなのです。

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