7月のメッセージ

2014年7月6日

南房教会 原田 史郎

「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」

マタイによる福音書4章4節

 

 わたしたち人間が生きていく上で、普通考えられることは、体を養う糧としてのパンと内面性としての心の二つでありましょう。最近、食料の自給率や、TPP関連で食の問題が何かとニュースになっています。他方、新聞やTVでは、これでもかという位に、犯罪が多発しており、その背景に人心の荒廃が垣間見えます。人間にとって、体と心の両面は、切り離せないのです。

しかし、それにも関わらずキリストは、「人はパンだけで生きるものではない」と言われました。主がパンを否定された訳ではありません。主は「人はパンだけで」生きる生き方に、そうではない、と言われたのです。マザーテレサは「愛に対する飢えの方が、パンに対する飢えを取り除くことよりも遥かに難しいのです」と言いました。パンは必要です。しかし、それ以上に人の内面にある心や魂の問題の方が、実は優先順序として先なのです。

よく知られている話で、昔、ギリシャの王が、生まれた赤ちゃんに、決して言葉をかけてはならないと、命じました。ところが、言葉を聞かない赤ちゃんたちは、間もなく生きる力を失って、みんな死んでしまったそうです。では、ただ言葉があればよかったのでしょうか。CDやコンピゥターの音声を定期的に聞かせれば、そのようなことは起こらないといえるのでしょうか。実験した訳ではないので、断言は出来ませんが、良い結果を見ることはないと思います。

それは、人を生かす言葉の背後には、「愛」があるからです。母親の愛が、温もりの言葉になって生まれた子に語りかけるのです。わたしたちが失意にあるとき、語りかけられた一言で勇気を与えられ、慰められるのは、語りかける人の配慮や愛があるからだと思います。

「神の口から出る一つ一つの言葉」は、無から有を造り出す神の全能の力の言葉です。

この言葉によって、世界が創造され、保たれています。しかし、神さまが、人間に語りかけられるのは、わたしたちに対する無限の愛があるからなのです(マタイによる福音書6章25~34節参照)。

 神の言葉である聖書に、日々親しみ、わたしたちの歩みが、神さまの栄光を現すような生涯になりますように。

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