8月のメッセージ

2014年8月3日

                          南房教会 原田 史郎

「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です」

コリントの信徒への手紙3章6節

 

 先月のことになりますが、7月21日(月、祝)に、関東教区宣教綜合協議会の主題講演を頼まれて、大宮の埼玉新生教会に行ってきました。幼稚園を併設しているこの教会の建物が竣工したとき、今は亡き中村忠明牧師から献堂式を依頼され、司式をしたことがあります。建物だけではなく、5年ぶりに関東五県の教職、信徒の方々と再会して、懐かしくも嬉しい一日でした。

講演は、いまから約28年前の1986年に発足した「ナルドの壺献金」の発足時の精神とその経過、そして今後の展望に関する提言ということでした。「ナルドの壺献金」というのは、信徒が一日10円ずつ献金して、教会ごとに纏めて教区に送ります。この献金は、互助献金として教区内の小さな教会の伝道の支援に用いられ、過疎地や辺地にあって、福音の灯が消されがちな地域に伝道している教会や教職を支えます。

2011年度の関東教区146教会(内、伝道所は21)で、その平均礼拝出席数は31名ですが、都市部の大きな教会を除けば、殆どの教会は10数名の礼拝を守っているのが現状です。それらの教会の全部に支援は出来ませんが、特に困難を覚えている教会、拠点的に守りたい教会(離島や広域な地域の拠点など)を助けるものです。この献金は、当初、700万円を目標に出発しましたが、昨年は1100万円の献金も満たされました。しかも、二度に亘る新潟、中越地震、3・11の東日本大震災募金も並行して進めての結果ですから、本当に驚きです。今年度は、1200万円の目標を立てていますが、多分達成することが出来ると思います。

どうしてこの献金運動が成長してきたのでしょうか。この献金が始まる前は、教区と教会の間に距離があり、また都会の教会と地方の教会の間に意志の疎通が欠けていました。

このままではいけない、なんとか血の通う教区にしたい、そしてどの教会も規模や伝統にとらわれないで、お互いに助け合う相互信頼の関係を創りたい、そういう祈りが出てきたのでした。そこで、教会の負担金でまかなっていたそれまでの教会互助費を、信徒の方たちの発案で、一人一人が関る信徒運動として、全く新しい形で始めたのでした。

「わたしは植え、アポロは水を注いだ」とパウロは言います。わたしたちがしなければならないことがあります。「ナルドの壺献金」の根拠になったのは、ベタニアの家で、一人の女が主イエスに「純粋で非常に高価なナルドの香油」を注いだことでした。無駄なことをすると怒った弟子たちに、主は「この人はできるかぎりのことをした(マルコによる福音書14章8節)」と彼女を弁護しました。わたしたちが、示されて出来る限りのことをすることが、大切なのです。その後は、神さまのみ手に委ねればよいのです。「しかし、成長させてくださったのは神です」小さな種でも、まず蒔くことから始めましょう。

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