11月のメッセージ   「あなた方は世の光である」   

2016年11月6日

南房教会牧師  原田 史郎

「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい」 (マタイによる福音書5章16節)

 

 11月に入りますと、一段と日が短くなります。南房教会は、日暮れどきから、教会をライトアップしていますので、暮れなずむ夕闇の中に光がパッとつくと、何かホットします。ユダヤ教に、「ハヌカー」という冬至の頃に行われる光の祭りがあり、祭りの8日間はハヌカーの燭台を窓際や戸口に9本のろうそくを灯します。1本は点火用で、毎日、1本ずつ火を付けて行きます。「ハヌカー」は、「奉献」の意味があり、人々は、かつてイスラエルに為された神の救いと奇跡を覚えて祈ります。

 一方、キリスト教では、キリストの「降誕節(アドベント)」に説教壇の前に飾られるリースです。リースには、4本のろーそくが立てられ、クリスマスの前の4回の日曜日毎に、1本ずつ火が灯されます。ろーそくが点灯される毎に、わたしたちは、最初のキリストのご降誕と、やがて第2の来臨としてこられるキリストの再臨を待ち望みます。今年の「降誕節(アドベント)第1主日」は、11月27日(日)です。

 キリストの救いという光は、神さまがわたしたちに与えてくださった恵みです。もし、わたしたちが光を受けているのなら、それを隠してしまっては、意味がありません。光は、輝かすことによって、何倍にも広がり、暗闇に在る人々に希望を与えることが出来るのです。

 過日、千葉支区内房分区の音楽集会が、西千葉教会で持たれ、教会の人たちと出席しました。ドイツ・ビーレフェルト教会合唱団の合唱と西千葉教会聖歌隊の合唱があり、その中で、合唱団の中で歌っていたマルチン・パピース牧師が短い奨励をされました。

同師が観た「オレポポスの光」というロシアの劇のことです。舞台にだぶだぶの服を着て大きな靴をはいた一人の男が、小さいスーツケースを持って登場します。彼は、暗い舞台にただ一条射し込んでいる光を見付け、その下に佇みます。

光は安心と暖かさと望みを与えます。彼が、光の心地よさに浸っていると、その光が動いて別の場所に移ってしまいました。闇に取り残された男は、移動した光を追いかけて、光の下に入り安心を得ますが、光はまたもや移動して他所に移ってしまいました。苛立ったその男は、持っていたスーツケースを開いて、なんとその光をケースの中に閉じ込めてしまったのです。瞬時に、舞台は暗転し、観客席も真っ暗です。

 突然の暗闇に戸惑っている観客が次に見たものは、その人がスーツケースを少し開けたため、ほのかな光がぼんやりと照らし出した舞台でした。更にその男が、ケースを全開すると、まばゆいばかりの光が舞台と観客席を照ら出したそうです。大きな驚きとどよめきが館内を満たしました。

 光は持っているだけでは、意味がありません。「あなたがたは世の光である」と言われた主イエスは、山の上の町が隠れることが出来ないように「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい」と言われます。キリストから頂いた命の光を分かち合いたいものです。

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