6月のメッセージ「白鵬のメンタル」

2017年6月4日

南房教会牧師  原田 史郎

「主の教えを愛し、その教えを昼も夜も口ずさむ人。その人は流れのほとりに植えられた木。ときが巡り来れば実を結び、葉もしおれることがない」  

(詩編1篇2~3節) 

 今年(2017年)の夏場所は、期待された稀勢の里が怪我の後遺症で途中休場というハプニングがあったものの、関脇高安の大関取りで盛り上がり、国技館には連日満員御礼の幕が垂れ下がりました。八百長が摘発されて、もう相撲も終わりかと思ったがらがらの会場の時代を思えば、慶賀の至りといえるでしょう。この中で、横綱白鵬が着々と白星を連ねて全勝優勝しました。1年ぶりの優勝で、平成生まれの若い下位力士の成長や30歳を超えた自分の年齢を考えれば、感無量の思いであったことと思います。品位、風格、実力ともに平成の終わりを飾るこの時代の名横綱といえるでしょう。

 この白鵬について、スポーツトレーナーをしている内藤堅志氏が『白鵬のメンタル』(講壇社α新書)という本を書いています。入門したときは、ひょろっとしたモンゴル出身の目立たない力士が、幕内に上がってから、素質だけでなくメンタルを重視しだしたというレポートです。内藤氏は、白鵬の発した175の言葉をKJ法で分類して七つの領域に分けました。その中で、上位はまず「日常生活」、次いで「稽古と研究」、そして三番目が「こころ」でした。この「こころ」というのは、内容として集中、緊張、自信、平常心・リラックス、無心、余裕、気迫、怖さなどで、この他、別分類にした「人生観」や「哲学」の項目も高い数値でした。これらのことから内藤氏は、白鵬の強さと成長を支えているメンタルとして次の四つを挙げます。

①  稽古をし、相撲を研究すること(相撲が大好き)

②  探究心を持つこと(相撲道・心技体の追求)

③  つながりを大事にすること(感謝の気持ち)

④  日常生活を大事にすること(稽古がすべてではない)

このようなものが、白鵬の強さを継続的に支える「流れ」を作っているのだといいます。

信仰生活もある点で同じことがいえると思います。主にある祝福された人々は、

①  聖書を読み祈り、証しをする(キリスト教信仰に喜びと生き甲斐がある)

②  聖書研究と学びを大切にする(真理探究の知的好奇心がある)

③  兄弟姉妹の交わりと人間関係を大切にする(愛、感謝と奉仕の精神)

④  教会生活と家庭を大切にする(自分のことや仕事だけが全てではない)

詩編の詩人は「主の教えを愛し、その教えを昼も夜も口ずさむひと。その人は流れのほとりに植えられた木。ときが巡り来れば実を結び、葉もしおれることがない」(詩編1篇2~3節)と詠いました。教会には、一人一人の白鵬がいるのです。

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