まわり道に花が咲く

 2010年6月20日

 説教 原田 史郎牧師

創世記13章1~18節

 アブラハムは一つの転機に立っていました。問題は、故郷メソポタミアから行動を共にしてきたロトのことでした。ロトはアブラハムの兄弟ハランの子で、唯一の親族です。ところが、二人の財産(羊や牛などの家畜)が増え、また天幕も多くなったため、家畜を飼う者同士のトラブルが発生したのでした。

 そこで、アブラハムは提案をします。「争うのはやめよう。土地はあるのだから、ここで別れよう。あなたが左に行くなら、わたしは右に行こう。あなたが右に行くなら、わたしは左に行こう。」と。

 この提案にはふたつの意味があります。ひとつは、平和のうちに別れる。それは、お互いの進む道を尊重する、と言うことです。アブラハムは、ロトを上から支配しませんでした。もうひとつのことは、年長で、家父長としても上位にある自分を低くして、ロトに土地の選択権、優先権を与えたことです。

 神さまは、アブラハムに、土地の約束を与えておられました。もしかすると、ロトの選んだ土地は、アブラハムの約束の土地であるかもしれません。

 わたしたちの人生には、よくこのようなことがあります。自分の願っていた道が閉ざされ、自分の思い描いていた計画が頓挫してしまうのです。初め順調にいっていたことが、些細なことで道の変更を余儀なくされてしまいます。思いもかけない回り道になってしまいます。

 ロトは低地を選び、そこに移っていきました。残されたアブラハムの心には、親しい身内との決別という悲しみがあったことと思います。

 しかし、神さまは、アブラハムに語りかけました。「さあ、目を上げて東西南北を見渡しなさい。見えるかぎりの土地をすべて、あなたとあなたの子孫とに与える。」前にも増して、力強い神さまの導きと約束が与えられます。回り道に見えても、神さまに信頼して従って行く時、その道に、神さまは豊かに花を咲かせてくださるのです。(ロマ8:28)

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