喜び歌い、ほめ歌え

 

牧師  原田史郎

エフェソの信徒への手紙5章11~20節

 

 使徒パウロは、「光の子として歩みなさい」(8)とエフェソの信徒に勧めました。暗闇の子から光の子にされた者の生き方を、10から18節に亘って、縷々述べています。「何が主に喜ばれるものか吟味すること」「暗闇の業に加わらず、光にさらすこと」「主の御心がなんであるか悟ること」など、わたしたちが心すべき歩みについて語りました。

 そして最後に、「酒に酔いしれてはなりません。むしろ、霊に満たされ、詩編と賛歌と霊的な歌によって語り合い、主に向かって心からほめ歌いなさい」と勧めます。光の子の特徴、新しくされた人間のしるしのひとつは、賛美する人、神をほめ讃える人なのです。 

「詩編(プサルモス)」は旧約聖書の詩編のことです。「語り合う」と言うのは、楽器の演奏のことだと言われます。詩編54、55編など「指揮者によって。伴奏つき」とあります。後のプロテスタントの教会音楽では、カルバンは、フランス語の詩編に旋律をつけて「ジュネーブ詩編歌」をつくりました。ドイツ訳によってルター派に、さらに英語訳によって広まって行きました。「讃美歌21」にも多く収録されています。

 「賛歌(ヒーゥムノス)」は、いわゆる信仰告白の讃美歌で、パウロの手紙に引用されている詩(5章14節)などが考えられます。ルターは、

人々が分かるドイツ語で会衆の歌える讃美歌を書きました。この世紀は宗教改革に次ぐ激動の時代でした。たとえば17世紀は、ペスト、30年戦争、それに伴う農地の荒廃による飢餓があり、死と絶望に取り囲まれた時代でした。しかし、そんな中でパウロ・ゲルハルトは、あの「あなたの道を(讃美歌21・521番)という希望に満ちた讃美歌を書いたのです。聖霊によって歌う賛美には、力があります。

 「霊的な歌(オーダイス・プニューマトス)」も、信仰から生み出された聖歌であったと考えられます。

 「主に向かって心からほめ歌い、主イエス・キリストの名によって

神に感謝」する、それがわたしたちの勲章です。

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