復活からの出発

牧師 原田 史郎

マタイによる福音書28章16~20節

復活の主イエスは、ガリラヤの山の上で、弟子たちに現れました。弟子たちは、「ひれ伏して」礼拝しましたが、しかし、「疑う者もいた」とマタイは記します。復活の記事を読んでいる中で、なんとなく、ひっかかりを覚える箇所です。

この「疑い」モチーフについて、近年、マタイによる福音書が書かれた紀元80年代の教会の事情が、あるのではないかといわれます。キリストの顕現を直接体験した初代の弟子たちはいなくなり、教会は第2世代に入ってきました。それは復活の主を直接目撃したことから、復活の伝承の世代に移ってきたことを意味します。マタイは、この過程で生じる「疑い」について、キリストご自身の言葉をもって乗り越えることを示しました。宣教の命令と共に「わたしは世の終りまで、いつもあなたがたと共にいる」と言われる主の約束に、信頼することが語られているのです。

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