ヨナのしるしのほかには

牧師 原田 史郎

マタイによる福音書12章38~42節

律法学者やファリサイ人たちは、主イエスに、メシアとしてのしるしを求めました。これに対して主は「預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない」と言われます。「つまり、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、大地の中にいることになる」ということなのです。この「大地の中」の「中(カルデア)」とは「心臓部」のことであり、それは「陰府(よみ)」を意味します。すなわち主は、わたしたちの罪を担い、死の深みにまで下られたのです。しかしまた、主は「三日三晩」と言われることにより、人間を永遠に閉じ込める死の力を限定させ、ついには、死を破って復活されることを示唆されたのでした。わたしたちの真中には、ヨナに勝る主がおられるのです。

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