起きて、床を担いで歩け

牧師 原田 史郎

マルコによる福音書2章1~12節

 

四人の男が中風の人を運んできました。しかし、群集に阻まれた彼らは、屋根をはがして、穴を開け、病人を主の前につり降ろしました。「イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に『子よ、あなたの罪は赦される』と言われた」のでした。これを見ていた律法学者たちが、神以外に罪を赦せないはずだと、心の中でつぶやきます。すると主は彼らの考えを見抜いて、「人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう」と言われ、中風の人に「起き上がり、床を担いで家に帰りなさい」と言われると、その人は立ち上がり、床を担いで出て行きました。

わたしたちは、病気の癒しが最初ではないのかと、考えます。しかし霊的な視点から見るとき、病気の癒しは、皮相的なものにすぎません。わたしたち人間を蝕んでいる罪からの救いこそが、わたしたちを根底から新しく再生させ、回復させるのです。病気に囚われ、病気だけに目を奪われるのではなく、罪を赦される主、癒しの主に心の目を向けるのです。この中風の人は、そのように主を信頼したのではないかと思います。

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