実現された永遠の計画

 

牧師 原田 多恵子

エフェソの信徒への手紙3章1~13節

 

 この箇所は、2章21節から3章14節の間の挿入といわれます。パウロは、囚人とされ、苦難の中にいましたが、「神がわたしに恵みをお与えになった次第について」語ります。4年余の囚人生活にも関わらず、彼は恵みに溢れています。

旧約時代には知らされていなかった「秘められた計画(口語訳では“奥義”)」が、わたしたちに啓示されました。この啓示は、異邦人も「キリスト・イエスにおいて、(神が)約束されたものをわたしたちと一緒に受け継ぐ者、同じ体に属する者となる」ことを明らかにします。キリストをいただく特権は、ユダヤ人にのみにゆるされていたのですが、今や、異邦人であるわたしたちにも開かれたのです。キリストによって、あらゆる民族、宗教、社会的な障壁は取り払われました(2章14節)。そして神はこの福音に仕えるものとして、「聖なる者たちすべての中で最もつまらない者であるわたしに」恵みを賜ったのだと、パウロは証しするのです。「最もつまらない者」という表現に、彼の謙遜が表されています。

この召しによって、パウロは「異邦人に福音を告げ知らせており」「秘められた計画がどのように、実現されるのかをすべての人々に説き明かしています」と言います。このような神の力や知恵が知らされるとき、それは「キリスト・イエスによって実現された永遠の計画に沿うもの」なのです。人間の発想でも偶然でもなく、神の計画によるものであり、キリストによって実現したのです。「だから、わたしが受けている苦難を見て、落胆しないでください。この苦難はあなた方の栄光なのです」と、力強く語るのです。

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