「星に導かれて救い主を」

(12月28日の説教から)

  牧師 原田 多恵子

マタイによる福音書2章1~12節

 

「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか」と学者たちがエルサレムに来て尋ねました。彼らは、東方で星を見て、新しい王を拝みに来たのです。旧約と新約の間の400年を中間時代といいますが、このギリシャ・ヘレニズム時代にアレクサンダー大王が死に、広大な帝国は分裂、聖地でもユダヤ戦争があり、ローマ帝国の勃興と共に、新しい王を待望する機運が広くあったのです。

 ヘロデ大王は祭司長や律法学者たちを集めて「メシアはどこに生まれるのか」と調べさせます。彼らは「ユダヤのベツレヘムです」と旧約聖書ミカ書5章1節を引用して答えました。この聖句は、当時のユダヤ教の文献で、メシア預言として人々に知られていた箇所でした。ベツレヘムはダビデの出身地であり、彼はこの地で初めて王に任職されています(サムエル記上16章1節)。

ダビデの家系に属するヨセフの子、イエスは、ベツレヘムで生を受けることによって、「ダビデの子」としてメシアたる者として証しされます。これは前章の「アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図(1章1節)」を立証しているのです。

学者たちは、星に導かれ、家に入り「ひれ伏して拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた」のでした。神の国の王として来られた主イエスを、一年の感謝を献げて礼拝し、混迷の中に始まる2015年を、この王なるイエスと共に、希望を持って踏みだしたいものです。

前回 目次へ 次回