「救いの約束」

(11月22日の説教から)

原田 史郎 牧師

出エジプト記2章1~10節

 

「王女は彼をモーセと名付けて言った。『水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから』」 「モーセ」は、原音では「モーシェー」ですから、「引き上げた」という救いの意味が込められた名前です。

 紀元前18世紀末、ヨセフが宰相になったヒクソスの王朝の時代は、ヘブライの民の繁栄期でした。この王朝が倒され、新しいファラオが就任した18王朝以後、彼らは奴隷としてエジプトに滞在することが許されました。だが、ヘブライ人が増えることを恐れた新しい王は、生まれた男子を河に投げ入れる命令を出します。モーセの母親は3カ月、赤子を隠しますが、ついにその子を河に流します。

しかし、神の救いの計画は、地上のどんな権力や状況の中でも、歴史を貫いて進められます。ナイル河から、王女によって、赤子のモーセが引き上げられたのは、偶然のような出来事です。けれども、この小さな出来事の背後には、神の遠大なる救いの計画がありました。後に彼は、イスラエルの民を、ファラオの支配から解放する「出エジプト」の指導者として立てられます。わたしたちの、偶然にみえるなにげない出来事の中にも、神の計画が隠されているのです。

この神の救いは、今日、イエス・キリストによって、わたしたちにもたらされました。主イエスは「わたしが命のパンである。わたしのもとに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決して渇くことがない(ヨハネによる福音書6章35節)」と言われました。神がモーセを水から引き上げられたように、主はわたしたちを罪と死の滅びから「永遠の命(同27節)」へと引き上げてくださるのです。

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