「我すでに世に勝てり」

(5月1日の説教から)

原田 史郎牧師

 ヨハネによる福音書16章25~33節 

主イエスは、最後の食事の席で、弟子たちに決別説教をされました。そして終わりに「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」と言われます。悩みについて西洋の寓話にあるように、人間であるわたしたちは、他の動物よりも寿命が長い分、悩みや苦しみも多くて重いのです。だが、弟子たちにとって、この苦難は、投獄、剣、飢餓、そして殉教をも意味するものでした。

キリストが十字架と復活、そして昇天されたことは、全ての苦難を乗り越えたこの世へのまったき勝利でした。わたしたちは、この主によって、どんな苦難をも乗り越える力を頂くのです。パウロもまた、苦難によって忍耐を、忍耐は練達を、練達は欺くことのない希望を生み出す、と言いました。それは「わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからである(ローマ信徒への手紙5章5節)」と証ししています。勝利したキリストによって、わたしたちも雄々しく生きるのです。

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