「破局からの救い」

(7月10日の説教から)

原田 多恵子 牧師

ヨハネによる福音書6章16~21節 

 ガリラヤ湖の向こう岸で、5千人に食べ物を与える奇跡をなさった主は、王にしようとする群衆を避けて、ひとりで山に退かれました。夕方になり、弟子たちは、舟に乗り、対岸のカファルナウムに行こうとしました。すでに暗くなっていましたが、主が戻らないため、彼らだけで舟を漕ぎだします。舟が25から30スタディオン(1スタディオンは185メートル)漕ぎだした頃、「強い風が吹いて、湖は荒れ始め」ました。周りを山に囲まれて盆地のようになっている湖は、時々山から吹き下ろす突風によって、嵐のようになります。それはシモンのような熟練の漁師たちにとっても、破局の到来でした。

 わたしたちの生涯にも、突然、思いもかけない突風が襲って来て、対応に苦慮し、時には何らかの手だてを持てない事態に直面することがあります。

 そのとき「イエスが湖の上を歩いて舟に近づいて来られるのを見て、彼らは恐れた」とあります。恐れる弟子たちに主は「わたしだ。恐れることはない」

と言われます。この「わたしだ」は、預言者イザヤが「恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ(イザヤ書43章1節)」と、神さまがイスラエルと共にいますことを表された(神顕現)内容と同じメッセージです。イエスが神であり、主であることが現わされているのです。「そこで、彼らはイエスを舟に迎え入れようとした」 弟子たちのように、救い主をわたしたちの人生に迎え入れるとき、破局からの救いがあるのです。

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