「あなたの敵を愛せよ」

(11月13日(日)の説教から)

牧師 原田史郎

マタイによる福音書5章38~48節

 

 主イエスは「あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない」と語られます。「目には目を、歯には歯を」は、「同害復讐法」といわれるイスラエルの律法です。既にハンムラビ法典にも記されている古い戒めですが、今日でも法の原則とし生きています。この法の精神は、ともすればエスカレートしてしまう報復を抑止するためのものでした。けれども、この法で、本当の和解と関係の回復は生まれてこないのです。むしろ、わたしたちの本性は、受けたダメージに対して、赦せない感情と過剰な報復に走りがちです。そこから生まれる憎しみはしばしば対立と戦いを生み出します。愛と赦しの支えのない国家や社会では、正義や権利の名のもとに不信と分裂が増幅していくばかりでしょう。

しかし、主イエスは、このような報復を基本とした対立に、愛と赦しをもって、新しい関係の生まれることを教えられました。「わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」 この「愛する(アガパオー)」をケセン語聖書の山浦氏は「大事にする」と訳しました。感情的に抵抗があっても、大事にすること、相手を大切にして尊重することは出来るのです。

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