「キリストが来られた」

12月24日 牧師 原田史郎

ヨハネによる福音書1章1~14節

 

 ヨハネによる福音書は、直接、キリストの降誕について語っていませんが、その事実を明白に言い表しています。「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた」 

それは、世界の根源であり、創造の主、超越的な生命力である「言(ロゴス)」キリストが、「肉(サルクス)」、すなわち「この世界の一時的で、価値の無い存在」の一部である人間の姿をとってこの世へと来られたということです。ヨハネは「わたしたちはその栄光を見た」と言います。目に見えるものが全てではありません。信仰によって、見えない永遠の出来事が見えるのです。わたしたちが見ることが出来る栄光は、この方の中に「恵みと真理」とが満ちあふれているということです。

これは驚くべきメッセージです。万物の創造者で永遠の神の御子が、一時的で、やがては消えゆく被造物の一部でしかない人間の姿をとってこられました。神は、ご自身の可能性を捨てて、あえて卑しく、低い姿をとられました。それは、闇と死の陰に座しているわたしたちの一人一人をなんとかして得るためなのです。この恵みと救いに応えるときが、クリスマスです。わたしたちの心に、救い主が宿られますように祈りましょう。

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