誘惑を受けるキリスト

2月26日の説教

梁在哲牧師

 

申命記6章10~19節       ルカによる福音書4章1~13節

イエスは、バプテスマのヨハネから洗礼を受けられた後、聖霊に導かれてヨルダン川から荒れ野の中を引き回された。そこで40日間、悪魔からしつこく誘惑を受けられたイエスは、何も食べず、その期間が終わると空腹を覚えられた(ルカ4:1~2)。旧約聖書の時代から断食は、「悔い改める」しるしとして守られて来たが、イエスは、父なる神への祈りに集中するために断食されたのである。

そこで、イエスは悪魔から食べることを巡る最初の誘惑を受けられたが、「人はパンだけではなく、主なる神の口から出る御言葉によって生きる」と、聖書の御言葉(申命記8:3)をもって悪魔の誘惑を退けられた(ルカ4:3~4)。使徒パウロは、神の口から出る御言葉に生きること、またその御言葉がわたしたちのごく近くにあり、わたしたちの口や心にあるゆえに、「人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われる」と、証した(ローマ10:8~10)。

ロシアのウクライナへの侵攻戦争とトルコとシリアの大地震のような突然の出来事や厳しい試練に直面してわたしたちは、戸惑いや絶望感を覚え、この現実から逃げようとする自分の弱さに改めて気づかされる。殊にこの40日間のレントの期間、そのような自分の弱さに真剣に向き合いつつ、悪魔の誘惑を受けながら御言葉をもって戦われ、退けられた主イエスの御姿を仰ぎ、悔い改めの祈りに集中しなければならないと思う。

そのようなわたしたちの祈りに、主なる神は、耳を傾け、聞き入れてくださると、詩編の記者は告白している(詩編66:19)。わたしたちは、自分の弱さから逃げることなく、真剣に向き合うことが出来るように、聖霊の御助けを求めつつ、御言葉をもって悪魔の誘惑に戦われ、退けられた御子イエスに倣い、悔い改める祈りに耳を傾け、聞き入れてくださる父なる神を信じて、この受難節の期間を過ごしたい。 

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