勇気を出しなさい 牧師 原田 史郎 ヨハネによる福音書16章25~33節 「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。(33節)」 この主イエスのお言葉は、多くの苦難の中にあったキリスト者を励まし、慰めてきました。わたしたちの間で、苦労の無い人はいないでしょう。だが、この「苦難」は、日常的な苦労ではありません。苦労という限界を超えた、苦しみ、試練を意味します。そして、この苦しみは、しばしば、わたしたちの失敗や挫折をも含むものなのです。 苦難は、ほまれをうばい、代りに嘲りや嘲笑を浴びせかけられ、いやしめられ、屈辱の中に置かれます。引き上げられ、称賛されるのでなく、落とされ、価値なき者として無視されるのです。 宗教改革の時代、多くのプロテスタント教徒たちは、公職を追放され、財産を没収され、投獄され、また、死刑を宣告されました。日本でも、キリシタンへの迫害は、厳しいものでした。 しかし、主は、言われます。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。」 最後の晩餐のとき、十字架が迫っていました。弟子たちは、この後、散らされ、ペテロも主を三度、知らないということが予告されていました。しかし、主の目は、十字架を経て、復活され、やがて父なる神のもとへと帰られる道筋を見ておられたのです。この主の勝利と栄光に、主は苦難に挫折した者をも招かれるのです。 「世に勝っている。」と言われる、この主に、わたしたちの揺るがない信仰の土台を置きましょう。 |