すべての民の救い主

 牧師  原田 史郎

マタイによる福音書2章1~12節   

 マタイ福音書によれば、幼子イエスを最初に礼拝したのは、東方から来た占星術の学者たちでした。この占星術(星占い)は、モーセの律法で禁止されており、しかも異邦人である占星術師の来訪は、きわめて異例なことでありました。

 救い主の到来を待っていたユダヤ(エルサレム)の民や祭司長、律法学者たちは、占星術の学者たちの問いを受けて、メシア誕生の地を、ミカの預言から、ベツレヘムであると特定しました。ところが彼らは、ヘロデが何を仕出かすか分からないという不安のために、結局一歩も踏み出すことが出来ませんでした。事実、この後、ヘロデは新しいライバルの出現に、狂気に満ちた行動をとります(16節以下)。

 星に導かれ占星術の学者たちは、家に入ると、母マリアと一緒にいた幼子イエスを、ひれふして礼拝し、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げました。

 あるデンマークの説教者は、この贈り物は、彼らの仕事での必需品だったと言います。そうであるとすると、学者たちは自分の大切な商売道具を献げてしまったということです。

今まで彼らが頼りにしていたもの、それによって世界の定めや人の運命を教え、導いていたもの、その全てを幼子に献げたのです。それは、彼らがこの世界で最も頼りになるものを幼子イエスに見出し、人々の運命や世界の定めの中心を、新しく生まれたイエスに置いたという信仰告白でした。ここに、わたしたちの歩むこの2013年の道があるのです。

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