「心を喜びで満たしてくださる神」

 (8月3日の説教から)

     牧師  原田史郎

使徒言行録14章8~20節

 

 

異邦人伝道に出発したパウロとバルナバたちの旅は、ピシディア州のアンティオキアを経て、リカオニア地方のリストラに到達しました。このリストラで、彼らが足の不自由な男をいやしたところ、町の人たちは驚き、バルナバをゼウス、パウロをヘルメスと呼び、ゼウス神殿の祭司たちまでもが、雄牛数頭と花輪を持って来て、彼らにいけにえを献げようとしました。

そこでパウロは、自分たちも同じ人間であるとし「このような偶像を離れて、生ける神に立ち帰るように、わたしたちは福音を告げ知らせているのです」と語り出しました。パウロは「この神こそ天と地と海と、その中にあるすべてのものを造られた神」であり、その神は、わたしたちに「実りの季節を与え、食物を施して、あなたがたの心を喜びで満たしてくださっているのです」と、語ります。

ギリシャ神話の神々と日本の神々との間に、直接的な関係はありませんが、両方とも、神々と人間の区別があいまいで、偉大な人を神とし、また特別な出来事を神々の降臨と解釈するところが似ています。これは人間が作り出す宗教の特徴なのです。しかし、天地を創造された神は、季節の恵みを通して、ご自身の存在を証しされ、わたしたちの心を喜びで満たしてくださるお方なのです。ユダヤ人たちは、唯一の神の存在を信じていますが、わたしたち異邦人にとって、偶像を離れ、生ける神に立ち帰る、この方向転換が大切なのです

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