奇跡を行うキリスト

2月19日の説教

梁在哲牧師

 

イザヤ41章8~16節       ルカによる福音書9章10~17節

主イエスが地上の公の生涯で行われた数多くの奇跡の中でわずかな「五つのパンと二匹の魚」によって大勢の人々に食べ物を与えられた出来事は、広く知られている。イエスは人里離れた所で群衆を迎え、彼らに神の国について語り、病人を癒しておられた。ところが、弟子たちは、日が暮れて途方に暮れていた群衆を見て、イエスに群衆を解散させてくださるように言った(ルカ9:11~12)。しかし、イエスは弟子たちに「あなたがたが何とか食べ物を用意しなさい」とは言わずに、只、「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」と言われた。イエスはご自身の祝福の祈りと共に、父なる神が臨んでおられ、全ての人に御力が豊かに働く恵みのゆえに、そのように言われ、全ての人が食べて満腹したのである(9:13~17) 。

預言者イザヤは、主なる神が共に臨んでおられる恵みが絶えないようにイスラエルの民に取り継いだ。イザヤはバビロンに連れ出され、苦しんでいるイスラエルの民に主なる神の救いの約束と慰めを語り継いだ(イザヤ41:10~13)。ところが、バビロンを滅ぼし、新しくペルシャ王国を築き上げたキュロス王は、周辺諸国の王たちには、恐怖の対象となったが、イスラエルの民にとっては、彼は油注がれる者、イスラエルを解放する牧者であり、回復する者であった(イザヤ44:28、45:1)。詩編の記者は、苦難の時、必ずわたしたちと共にいてくださる主なる神の真実と恵みを褒め称えた。(詩編46:2)。

聖書の御言葉は、神が共に臨んでおられるその恵みが絶えないように語り継いでいる。使徒パウロは逮捕され、ローマに移送される際、暴風に襲われた。一行が乗っていた船は難破し、マルタ島に漂着した。そこでパウロは、マムシにかまれたが何の被害も受けなかった。その不思議な出来事の前に島の原住民たちは、「この人は神様だ」と言った(使徒28:6)。「五つのパンと二匹の魚」の奇跡を行われた主イエスは、今もわたしたちに、「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」、と言われるのではなかろうか。わたしたちのために捧げられる御子イエスの祝福の祈り、言葉に言い表せない聖霊の執り成し、苦難の時、共におられる父なる神の恵みのゆえに、その真実と恵みが絶えないように語り継ぎたいと祈り願う。 

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