神の富と知恵

牧師  原田 史郎

ローマの信徒への手紙11章33~36節

パウロはここで、神を賛美して、まず二つの感嘆の言葉を語ります。

 「ああ、神の富と知恵と知識のなんと深いことか」この富は「すべての人を憐れむ(32)」憐れみの豊かさです。そして神の知恵は、パウロにとって「神の知恵であるキリスト(Ⅰコリント1章4節)」以外の何ものでもありませんでした。キリストの十字架と復活を通して現わされた神の知恵と知識は、人間の考えを超越した、測りがたい深さをもっているのです。

 また「いったいだれが、神の定めを究め尽くし、神の道を理解し尽くせよう」。もはや使徒は、神の定め、さばきをこのようなものであると、語ることはしません。いくら説明しても、わたしたちの言葉では説明し尽くせるものでないからです。

 

 この感嘆の言葉を受けて、使徒は三つの問いによって、神の究めがたいみ心と計画について語ります。「いったいだれが、主の心を知っていたであろうか」「だれが主の相談相手であっただろうか」「だれがまず主に与えて、その報いを受けるであろうか」。これらの問いは、すべて否定形です。それは、人間の小さな計画や思考を遥かに超えているからです。わたしたちは、キリストによって現わされた神の憐れみの豊かさを、ただ賛美するのです。

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