御心が地になりますように

牧師 原田多恵子

 

マタイによる福音書6章9~10節         

「主の祈り」の三番目の祈りは「御心が行われますように。天におけるように地の上にも」であります。「御心」とは、「神さまの人間への慈愛、善意を込めたご意思」です。天では、このご意思が働いて全てのことが善きに計らわれていますが、地上では、そうではありません。

それは、わたしたちの周りの世界や社会をみれば、すぐに気が付くことです。人間のなかに巣食う罪と悪の性質は、どんな近代的な思想や制度のなかにあっても、その本質から出てくる悪が、この世界と人間を汚し破壊するのです。

 

 

 

 主イエスは、ゲッセマネの園で、人の子としてのお姿を見せられました。

「父よ、できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願いどおりではなく、御心のままに。(マタイによる福音書26章39節)」と祈られました。

 それは、わたしたちが罪にまみれた自分の思いや意思を貫くよりも、ただひとり善なる方の思いと意思が貫かれることを、祈るのです。わたしたちのすべてのものが、自分の持ち場と職を、あたかもみ使いが主に仕えるように、喜んで、また忠実に全うできるように祈ることなのです。

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