大きな喜びが与えられた

 牧師 原田 史郎

ルカにより福音書2章1~20節

 

「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる」と主の天使は、羊飼いたちに言いました。「大きな喜び」とは何ですか。それは 「今日、ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシア(キリスト)である」ことです。

救い主は「乳飲み子」の姿で、わたしたちのところに来られました。乳飲み子は、無力な存在です。それは、邪悪な力を持っていないが故に平和な存在です。これは、無力なわたしたちと共にいるために、平和をもたらすためであったのです。

この時代のローマ皇帝は、並ぶものなき絶対的な権力を持っていました。彼が勅令を発すれば、その広大な支配地の住民は、誰もが人口調査のために、生まれた土地に戻って登録をしなければなりませんでした。後に歴史家が「パックス・ロマーナ(ローマの平和)」という平和は、ローマ軍の強力な軍事力に支えられており、その属州の民は、服従することで平和を保障されていました。

しかし、救い主の誕生は、神さまが強権的な力によってではなく、柔和という無力の力によって人々に救いと平和を与えようとしておられることなのです。この恵みは「民全体に」すなわち弱く罪深い人々、忘れられ無視されている全ての人々のも及ぶ救いなのです。

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