「永遠の霊、汝らと共にあれ」

(5月22日の説教から)

原田 史郎 牧師

 ヨハネによる福音書14章15~21節     

 最期の晩餐の席で、主イエスは、弟子たちのもとから去ることを予告されました。「主よ、どこに行かれるのですか」とのシモンの問いにも、「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできない」と答えられます。

 弟子たちのなかに大きな不安が生じたことでしょう。行き先が全く見えなくなり、自分たちもどうなるのか分かりません。それは、ヨハネによる福音書が書かれた当時のキリスト者たちが、ユダヤ教の会堂から追放され、一切の法的援護を失った一世紀末の教会の状況とも重なります。そして考えてみれば、今日わたしたち現代人もまた、明日をも分からない時代の中で、孤立し、希望のある道筋を見出せていないのです。

 そこで主は「わたしは父にお願しよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる」と言われます。この「弁護者(パラクレートス)」は、「慰める、励ます、勇気をださせる(パラカレオー)」から出てきた言葉です。弁護者について主は「この方は、真理の霊である」言われます。すなわち聖霊は、わたしたちを慰める「慰め主」であり、生きる力を与えてくださる「助け主(口語訳)」なるお方なのです。弁護者である聖霊は「この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいる」お方であると、主は言われます。それは、「あなたがたをみなしご(孤児)にはしておかない」という主の約束なのです。

 弁護者である聖霊が、わたしたちと共にいてくださるのです。「まことを語る神さまの息が、風のようにお前たちを包む。『助っ人さま』とはその息だ(山浦訳「ガリラヤのイッシュー」)」この聖霊の息に包まれて、わたしたちは信仰の生涯を歩むのです。

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