「命をもたらす霊よ、来たれ」

(5月15日の説教から)

原田 史郎 牧師

使徒言行録2章1~13節

 主イエスの復活から50日(ギリシャ語でペンテコステ)、エルサレムで祈っていた120人ほどの人々の上に異変が起こります。「突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた」のです。「風」は、聖書の原語では、「霊・息」と同じ意味があります。神が天地を創造されたとき「闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面で動いていた(創世記1章2節)」とあります。これをクイーンズバイブルは「激しい風が吹いていた」と訳しました。聖霊の風が、祈っていた人々の上に降ったのです。

 「そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった」のです。火もモーセが燃える柴を見たときのように、神の臨在を表す表象です(出エジプト記3章2~6節)。そして、この「炎のような舌」は、そこにいた一人一人が、聖霊によって神の言葉を語る者となること表しています。

聖霊は創造的な力であり、わたしたちに命を与える神の息吹であります。預言者エゼキエルは、ある日、幻の内に枯れた骨の満ちた谷に連れて行かれました。すると主は「枯れた骨よ、主の言葉を聞け。見よ、わたしはお前たちの中に霊を吹き込む。すると、お前たちは生き返る(エゼキエル書37章5節)」と彼に命じられます。エゼキエルが預言すると枯れた骨は、生きた集団になりました。ペンテコステは、この神の息吹として聖霊がわたしたちに与えられ、教会が誕生したときです。福音の宣教が始まったのです。

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