真実の信仰に歩む者

11月19日説教

梁在哲牧師

 

出エジプト記2章1~10節      ヘブライ人への手紙3章1~6節

モーセの120年の生涯においてその最初の40年は、エジプトの宮廷で高いレベルの学問を習い、次の40年は、ミディアン荒れ野に逃れ、そこで厳しい信仰の経験を積み、最後の40年は、イスラエルの民をエジプトから導き出し、律法を授けられ、国を造り上げるために働いた時期であった。ところが、モーセの出生とその幼い命が救われ、守られること、またエジプトの宮廷の子どもとして受け入れられ、大きくなる一連の出来事の全ては、主なる神の救いの約束の恵みとその約束による救いの御業であり、導きに他ならない(出エジプト2:10)。 

神の救いのご約束は、主イエス・キリストによってこそ成就された。殊にヘブライ人への手紙の記者は、モーセは将来語られるはずの救い主を証しするために仕える者であったが、キリストこそ、モーセに勝るお方でおられると証した。モーセは、仕える者として神の家全体の中で忠実な召し使いであったが、キリストこそ、「御子として神の家を忠実に治められるお方である」がゆえに、「もし、確信と希望に満ちた誇りとを持ち続けならば、わたしたちこそ、新しいイスラエルの民となる神の家、即ちキリストのお体なる教会なのである」と証し続けた(ヘブライ3:2~6節)。

主なる神は、エジプトから導き出され、荒れ野の旅路を続けて来たイスラエルの民にモーセを通して天からマナを与えられ、守って支えてくださった。しかし、彼らは、主なる神に背き、逆らうことを繰り返した。それゆえ、主イエスは、ご自身、天から降った「命のパン」として自分を信じ、受け入れる者に、決して飢えることがなく、決して渇くことがないと言われた(ヨハネ6:35)。主イエスは、あなた方は、神に背き、逆らうことなく、真実の信仰に歩みなさいと言われたのである。

詩編の記者は、エジプトの国から解放され、荒れ野の旅路を続けて来たイスラエルの民にマナやうずら、また岩からの水を与えてくださった主なる神の御業を褒め称えつつ、アブラハムに約束してくださった「聖なる御言葉」を御心に留められるその恵みをも讃美した(詩編105:40~42)。父なる神は、アブラハムから新しいイスラエルの民としてわたしたちに至るまでその「聖なる御言葉」を心に留められ、天から降った「命のパン」でおられる御子イエス・キリストを通して「救いと祝福の約束」を成就してくださった。わたしたちは、厳しい地上の信仰の旅路において「聖なる御言葉」」を信じつつ、「真実の信仰に歩む者」でありたいと祈り、願う。

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