王が先だって進み

(11月25日の説教から)

 ミカ書2章12~13節     牧師  原田 史郎

 

「わたしは、イスラエルの残りの者を呼び寄せる」と主は言われます。

「残りの者」とは、神の裁きがくだされるとき、その中から、少数の者が残されて、神の救いと祝福を後の人々に継承する者のことです。このように選ばれた者たちが「残りの者」と呼ばれました。そのよい模範は、ノアでしょう。彼は大洪水によって滅んでいった人々の中から選ばれ、神の救いを伝える者となりました。モーセも、皆殺し命令の中、残された男の子でした。使徒パウロは、教会をまさにその「残りの者」だといいました(ローマ11章4,5節)。

ミカが預言活動をした時代、イスラエル南北両国は、偶像礼拝と社会の不正と腐敗の中にありました。ミカは、罪の現状と神の裁きを激しく(2章12節の直前まで)語りました

しかしこの神の裁きにも関らず、神は「わたしは彼らを羊のように囲いの中に、群れのように、牧場に導いてひとつにする」といわれます。主の招きによって、教会はキリストを中心にして、ひとつにされるのです。だが、呼びだされ、ひとつになるとき、そこには高い障害や障壁があります。神に選ばれた残りの者であるモーセは、ファラオの執拗な反対に難渋しました。ノアも巨大な箱舟を、人々の嘲りの中で建造しなければなりませんでした。

 しかし「打ち破る者が、彼らに先だって上る」とき、そこに活路が開けます。

「彼らの王が先だって進み、主がその先頭に立たれる」のです。今日、わたしたちを取り囲んでいる状況は、子どもたちのいじめが14万件もあるという邪気に支配されているような閉塞的な社会です。ミカは、それらを政治や制度の改革によってではなく、メシア(キリスト)によって、神の人間と社会の根本的な、霊の刷新によってなされる時がきていると、告げるのです。

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