こうして力が与えられた(ペンテコステ)

 

牧師 原田 史郎

使徒言行録2章1~11節 

「五旬祭(節)の日が来て」という書き出しで、2章は始まります。「五旬祭(ペンテコステ)」は、ユダヤ教では、「七週の祭り」と呼ばれる収穫の祭りの時でした。この日を「五旬祭」というのは、「過越祭」から数えて50日目に当たるからでした。

 また、後期ユダヤ教になると、この日は、イスラエルの民がシナイ山で、神さまから律法を与えられた日の記念日になりました。五旬祭は、聖霊が心をひとつにして祈っていた120人ほどの人々に降った日です。それは、シナイ山のふもとで古いイスラエル12部族が神の民として生まれたように、この日、聖霊によって、12使徒を中心にした新しいイスラエルとしての「教会」が誕生したのです。

聖霊が降ったとき、人々は、「ほかの国々の言葉で話しだし」ました。その代表的なペテロの説教は、使徒言行録2章14節以下に記されています。そこでペテロは「あなたがたは(このイエスを)十字架につけて殺してしまったのです(23節)」と人々の罪を明らかにし「悔い改めなさい。めいめいイエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい(38節)」と迫りました。

かつてのペテロは、大胆で勇気ある(マタイ福音書14章28節)人でしたが、同時に人間的な弱さ(ルカ福音書22章54節以下)をも持っていました。しかし、聖霊が彼らに降ったとき、弟子たちはもはや、ユダヤ人たちを恐れて、戸を閉じて震えてはいませんでした。力と確信が与えられた人たちは、イエス・キリストの驚くべき救いについて語り始めたのでした。

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