神の国と力と栄えと

牧師原田史郎 

ヨハネによる福音書141114

 「主の祈り」の最後は「国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり」という言葉で結ばれます。福音書での主イエスの教えにはありませんが、当時のユダヤ人の祈りには、必ず神さまを賛美する頌栄がありました(歴代誌上291011節参照)。 当然、弟子たちも、このような賛美をしていたと、考えられます。

 この祈りは、第一に、神さまは「わたしたちの王として、あらゆる力をもっておられ、その力を持って全てを治められる方(ハイデルベルク信仰問答)」であると、賛美します。さらに神さまは、その力をもって、わたしたちに「全てのよいものを与えることを望み、また、与えることが出来るお方である(同問答)」と、祈るのです。この信仰は、「主の祈り」の全ての祈りの項目に及ぶものです。 すなわち、「みこころの天になる如く」と祈れば、神さまは「地にもなさせたまい」ます。「日用の糧を、今日も」と求める者に対しては「与えたもう」のです。悪い者の「試みにあわせず」と、助けを祈るわたしたちを「悪より救い出し」てくださるのです。

 そして最後に「国と力と栄えとは、限りなく汝のもの」と祈るとき、「わたしたちの名ではなく、あなたの聖きみ名が、永遠にあがめられますように(同問答)」と、神さまを賛美するのです。心から主を賛美しましよう。                 (主の祈りの本文は、「教団式文」による)

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