恐れから平和に

 

ヨハネによる福音書20章19~23節

牧師  原田 史郎

 

 婦人たちが墓に向かったのと対照的に、男の弟子たちは「ユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけて」籠ってしまいました。彼らの心を支配していたのは恐れでした。ユングは、人には、意識に現れないがその近いところに暗い影があるといいます。その影は、何かの拍子にわたしたち自身の中で、或いは外の客体、すなわち他人に投影されて、その人を脅かすのだといいました。弟子たちはまさに、彼ら自身の内部に、また周りのユダヤ人に対しても、いつも以上の恐れを抱いたのでした。

そのような弟子たちのところに、復活のイエスが来られて真ん中に立ち「あなたがたに平和(平安)があるように」と言われます。さらに彼らに息を吹きかけて「聖霊を受けなさい」と言われました。主イエスの霊が弟子たちに与えられたとき、恐れは消え、聖霊の豊かな賜物が彼らの魂を満たすのです。それは使徒パウロが言っているように「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和(平安)、寛容、親切、善意、誠実(ガラテヤ6章22節)」なのです。人にはいろいろな恐れがあります。しかし「聖霊を受けなさい」と言われる主は、わたしたちを、恐れから平和へと変えてくださるのです。聖霊を求め、豊かな賜物で満たされることを祈りましょう。

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