「東方から来る者」

(12月27日の説教から)

原田 多恵子 牧師

マタイによる福音書2章1~12節

 

ヘロデ王の時代、イエスがお生まれになったとき、「占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。『ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです』」この学者たち(文語訳では「東の博士たち」)は、おそらくペルシャの祭司で、天文学や薬学、また夢解釈などを扱い人々の運命や世界の動きについて預言する人たちであったと思われます。ルカ福音書では、救い主の誕生が、ベツレヘムのユダヤ人の羊飼いたちに告げられたのに対して、マタイ福音書は、異国の異邦人の学者たちを通して、ユダヤ人の王を捜させています。これは主の誕生が、ユダヤだけに留まらないで、全世界にまで及ぶ福音の広がりを示しているのです。

ヘロデ王が祭司長や律法学者たちに問いただしますと、彼らは預言者ミカがメシアの生まれる地を「エフラタのベツレヘムよ(ミカ書5章1節)」と預言していることを示しました。でも祭司長たちは、猜疑心の強いヘロデの怒りを恐れて、立ち上がろうとはしませんでした。

学者たちが「王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に」止まりました。 彼らは、喜びに溢れて「ひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を献げた」のでした。この贈り物については、古代教父たちは、黄金は王に、乳香は聖所で香を焚き祈るときに用いられるため神に、そして没薬は丁重な葬りの薬として死せる者に献げるものと解釈しました。真の王であり、神の御子であり、人々の罪を担い十字架に架かりたもう贖いの主への贈りものでした。わたしたちも宝と祈りと信仰をもって、この主に礼拝を献げるのです。

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