香油を注がれた主

原田 史郎 牧師

ヨハネによる福音書12章1~8節

 過ぎ越しの6日前に、主イエスと弟子たちは、ベタニアにあるラザロの家に行きました。食卓の席に主がついておられるとき「マリアが純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ持って来て、イエスの足に塗り、自分の髪でその足をぬぐった」のでした。彼女の霊的な識別力が、主の受難を悟らせたのです。香油の香りが、部屋いっぱいに満ちたとき、ユダが言いました。「なぜ、この香油を300デナリオンで売って、貧しい人々に施さなかったのか」 部屋の空気は、この一言で、重苦しく、気まずいものに一変してしまいました。

しかし、主は「この人のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それを取って置いたのだから」と言われます。喜びの日のための香油は、死と葬りの備えになりました。また、生き返らされたラザロの生と主の死が交錯しています。だが、死で全てが終わるのではありません。主の死の向こうには、わたしたちのために、復活という希望の光が射しているのです。

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