わたしたちに与えられる大きな喜び

2010年12月24日(燭火讃美礼拝)

説教 原田 史郎牧師   

ルカによる福音書2章1~14節

 クリスマスのメッセージは、天使が羊飼いたちに告げた「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。」と、いうものです。闇を破り、光が照らし、恐れではなく、「大きな喜び」が訪れたのです。

 今、日本では、1998年以来13年続いて自殺者が3万人を超えました。また、お年寄りの孤独死も日常的なこととなりました。ある団地では、入居者の9割が65歳以上で、孤独死を防止するために巡回するのだと、報じていました。このような孤独死は、老人だけのことでなく、今や、若い人から中高年にまで、見られるようになりました。社会の絆や、人と人との関わりが薄れきたからだと、言われます。先進国の一つでありながら、人々の心には、希望も喜びも無いのです。

 喜び、と言うとき、二つの喜びがあります。一つは単純な喜びです。小さな子供がサンタクロースから、プレゼントを貰うような、小さな喜びです。毎日の生活の中では、このような素朴で小さな喜びが、わたしたちの幸せになるわけですが、自分を不幸と思っている人には、この喜びは感じられません。心を押し潰すような重荷が、魂の奥深い所にあり、すべてを闇に閉じ込めているからです。

 しかし、もう一つの喜びがあります。それは、わたしたちの状況や環境に支配されない、魂に力と、生きる勇気を与えてくれる喜びです。天使は、言いました。「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ、主メシアである。」この救い主は、ベツレヘムの最も貧しく低いところの象徴である飼い葉桶にお生まれになりました。それは、絶望している人、どんなに貧しく孤独な人でも、また、魂の空しさや喜びを失っている人々のところに、このメシアが来て下さったことを意味しているのです。わたしたちが、この救い主をお迎えする時、クリスマスの喜びが満ちるのです。

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