(十戒講解 その1)「あなたの神、主を愛しなさい」

(8月2日の説教から)

  牧師 原田 史郎 

出エジプト記20章1~3節

 神はモーセによって、イスラエルに十の戒めを与えられました。この「十戒」は、神との契約に歩む神の民の律法の中心であり、道を誤らないための規範でした。今日、この「十戒」は「主の祈り」とともに、キリストの贖いによって救われたキリスト者の感謝の生活を導く道標です。

「十戒」の前半の四つ(出エジプト記20章2~11節)は、わたしたちが「神に対してどのようにふるまうか」を教え、後半の六つ(12~17節)は、「わたしたちの隣人にたいして、どのような義務を負っているのか」を教えています。

第1戒は「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導きだした神である」という神ご自身の自己啓示から始まります。それはイスラエルの救いと深く結びついています。それ故にこそ「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない」と言われるのです。

このことで神が求められていることは、唯一人の神を神として、この方を崇め礼拝を捧げることです。それはまた、「この神にのみ信頼し、へりくだりと忍耐とをもって、神からよきものを待ち望む(ハイデルベルク信仰問答)」ということであります。「機械仕掛けの神」という現代人の神理解を表す言葉があります。自販機にコインを入れると自動的にジュースが出てくるように、人間が顧客になり、神に顧客の欲望をかなえるだけの自動販売機のように命じ、作動させるのです。しかし、まことの神はこのような「機械仕掛けの神」ではありません。神のみ前に謙遜になり、約束をいただくために忍耐がいるのです。

そして、これらすべては、主イエスが言われた「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である(マタイによる福音書22章37~38節)」を内容としています。この戒めに歩むことによって、わたしたちは、神から救いと祝福とを豊かにいただくのです。

前回 目次へ 次回